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大工さんに伝わる怖い話

建築関係のブログの方からトラックバックをして頂きましたので、今回は大工さんに伝わる怖い話をしましょう。

以下は武蔵野美術大学教授の神野善治先生からお聞きした話です。日本中の昔話や伝説等の中で、一般の人は耳にすることはないといいます。代々大工さん仲間だけの口伝で、棟梁から若い弟子へ今でも語り継がれている内緒の話だそうです。

あるとき、飛騨の有名な宮大工は大きな仕事をもらい、誠心誠意毎日仕事に励んでいました。ところが、かなり建物ができたころ、とりかえしのつかない失敗をしてしまいました。入り口の両側の柱を短く切ってしまったのです。これは大変です。頭を抱えて困りきっているところへ、その宮大工の女房がある智慧を授けます。

柱の下に「はかま」をはかせなさい。そうすれば短く切ってしまったことがわかりませんよ。

かくして、この宮大工は女房の智慧と自らの技術によって、無事に完成させることができたのです。今でも見られるはかまをはいた柱の元の話なのでしょう。建築関係のホームページで、建て直しのとき建具を再利用するにあたり、長さが足りないということで大工さんが建具にはかまをはかせてはめこんだ、という話を読んだことがありますが、この話とつながりそうです。

大工さんに伝わる怖い話、でしたからこれでこの話は終わりません。

この宮大工は口封じのために女房を殺してしまったというのです。ただし、この話も地方によって話の内容が違うようです。

それからというもの、その宮大工は供養のためにか、棟上のたびに五色の布とくしやお化粧道具を屋根裏に祀り、その習慣は今でも続いているそうです。入れるものは地方によって異なり、私も実際に、コケシ、くし、鏡、かもじ、紅、おしろい、鶴亀の扇子、人形などを見せて頂きました。

建築の儀礼に関しては、大工さん自身が行います。いろいろなものを祀るのは彼らが建築していく上で守り神とするためです。また、木は切り出され、犠牲になりながらも家になってくれるので感謝を表す意味もあるらしいです。

奥さんのことを「山のカミ」といいますね。建物になる木は山から切り出され、里へお嫁入りしたようなもの。習慣的に使っている言葉と民俗は相互に関係があるものが多そうです。この口伝は大自然と人間との係わりを伝えようとした話なのかもしれません。

神野善治先生にはご本人の『木霊論 家・船・橋の民俗』白水社を紹介して頂きました。(おすすめの本参照)

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