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不安に打ち勝つ・ニレの木

ケルト暦ツリーサークルの「モミの木」の次はニレの木です。1月12日~1月24日、7月15日~7月25日生まれの人。

「寛容と正義が、この時期に生まれた人の理想です。かれらは不安に打ち勝つ力があり、勤勉で創造的、そして信頼できる人柄です。多くの作家がこの時期に生まれていますが、それは、ニレの日生まれの人の、創造的な感受性を示す証です。」『木の癒し』ギーゼラ・プロイショフ著 小川捷子訳 飛鳥新社

単にニレといえば日本ではハルニレを指し、だいたいは北海道で生育しています。樹高25~30m、春に小さな花が咲くことからハルニレと呼び、車両材、造作材、ベニヤ板、枕木などに利用されます。より身近な存在としてはアキニレがあり、盆栽として仕立てられることが多いのですが、ニレケヤキと称されることが多いようです。他のニレ科としては、アイヌの民族衣装アットゥシ織のオピウになるオヒョウ、暑い夏に木陰をつってくれるケヤキなどがあります。

ここでのニレは西洋ニレ、欧州ニレ、エルムといい、中部ヨーロッパを中心として、北ヨーロッパ、アジア、北アフリカでも生育し、家具や建築材料として利用されています。

ギリシアではニレは「死」と「悲しみ」のシンボルであり、ビンゲンのヒルデガルトは「ニレは幸福の木。他人に対する妄想や仲たがい、思い込みなどがあっても、ニレの木があると、魔物はそれを激しい怒りや、いさかいなどにふくれあがらせることができない・・・・・」と記しています。

ニレの樹皮を燃やせば空気の精霊に会える、木を焚いてお風呂につかれば怒りや悪意を取り去ってくれて幸福な気分になれる、という説もあります。

バッチのフラワーレメディーにも「エルム」があります。エルムを必要とするのは、普段は非常に有能でリーダー格の人が、責任の重圧や体調などにより、一時的に自信喪失状態となり、弱い存在になっている場合です。エルムのレメディーを服用すれば、内面からの呼びかけに従い、責任を果たす自信が生まれ、自分の才能、可能性に気づく効果があるといいます。その他、この状態に陥っている人に有効な方法は以下のような方法もあり。

時たま自分のための時間をもって息抜きする、計画をたてるときは休養の時間もとる。

「私が引き受けているのは、自分の果たせる範囲の責任だけだ」

肉体的な薬効としては、樹皮の部分が有効だそうです。植物繊維が腸内を洗浄、抗炎、喉、消化器官の鎮痛に効くといわれています。

中国は山東省の斉南に滞在されていた方が斉南あたりに伝わる昔話を収集されており、その中に「楡の木の精 譚振山故事選」という話がありました。斉南といえば、旅の途中で山東大学に宿泊させてもらったことがあります。それまで紙のようなパンをかじったり、しなびたみかんを食べ、栄養も足りずに疲れ果てている貧乏旅行でした。

その日の夕食をどうしたものかと宿舎で考えているところへ、初対面の日本人留学生が現れ、ホテルのバイキングへ連れて行ってご馳走してくれた、というありがたい経験をしました。上記の昔話は斉南あたりで飢えている人間たちをニレの木が救ったという話。偶然にも同地方で飢えていた私にご馳走してくれた人はニレの木の精だったのでしょうか?!不思議な類似性に驚きつつも、ぜひその昔話をご紹介したいと思います。全文をお読みになりたい方は、昔話の専門家である、寺内重夫さんのホームページをぜひご覧ください。

あらすじ:中国の七星山の麓の村は日照りにあい、食料に困っていた。ある日、親のいない若者、王小が空き腹をかかえて山に野草を採りにでかけたが、禿山には一本すら生えていない。困り果てているところ、偶然岩の隙間に小さな楡の木をみつけた。この荒れた山の中で強くたくましく生きている黄色い葉を見て、王小はひとつぶ涙を流す。するとどうしたことか、楡の葉は緑色に変わったのである。それからというもの、王小は毎日のように山へ通い、楡の木を慈しみ育て、やがて実がなるようになる。

そこで彼は飢えている村人に楡の実を分け与え、日照りをどうにか越すことができたのである。そして、ある日、王小のもとに美しい楡の精が現れて、助けてくれたお礼、と王小の嫁になると申し出た。嫁をとるには貧しすぎる彼に、楡の精は楡の実の形をした金貨を与えたのである。王小は村人にもその金貨を分け与え、その村は豊かに暮らした、とさ。

この中国の昔話を読むと、ケルト暦のニレの木の期間生まれの性質、すなわち、勤勉で創造的、信頼できる人柄で(村人たちにも楡の実、金貨を分け与えた)、不安に打ち勝つ力があること、バッチのフラワーレメディーのエルムの性質、一時的に自信喪失状態(日照りで)になったけれども、楡の木という友人を得たことにより立ち直っていくというストーリーが、楡の木の性質をよく表現しているように思う。

日照りによる死の恐怖と悲しみ、不安、自信喪失、苦しみ、村人を救う責任感。その状況はニレの木の登場により幸福へと変換する。ギリシアの神話、ドイツのセラピスト、ギーゼラ、イギリスのバッチ、中国の昔話・・・・、ニレの木の性質は底辺ではつながっているようです。

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