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『お月とお星』

人間が命をつなげていくために必要なものを語っている、日本の昔話があります。

    『お月とお星』のお話、ご存知ですか?

    継母と子捨ての話です。

むかし、むかし、お月という娘が父さんと二人きりで暮らしていました。そこへ新しい母さん、継母ですね、がやって来ました。連れ子のお星という娘は、お月を姉さんとしてなついたけれど、母さんはお月に辛く当たるばかり。

ある年の冬、父さんは遠くの町へ仕事にでかけ、家は3人きりになりました。母さんはこの機にお月を山へ捨てることを計画します。石の箱に閉じ込めて。お星はその石の箱を注文しに石屋へ行かされます。その時、お星は石屋に特別な注文をします。

「箱に2つの穴を開けてください。ひとつの穴からは空気が入ってくるように、もうひとつの穴からは光が差し込むように」

石の箱ができてくると、お星は母さんにみつからないように、箱の中に水と食べ物となたねを一袋入れました。なたねは山へ運ばれるとき、開けた穴から少しずつこぼしてもらうためです。春になれば菜の花が咲き、お星はお月を助けに行くことができるから。

翌日、母さんは石の箱へお月を押し込め、山へ向かいました。お月はお星に言われたとおり、穴から少しずつなたねをこぼしていきました。真冬の寒い寒い日でした。

やがて眠っていた命が目を覚ます春がやってきました。

お月が蒔いたなたねは見事な菜の花を咲かせました。黄色にそよぐお月へのくっきりとした道しるべとなっていました。お星はその菜の花の小道をたどって、無事お月のもとへたどりつけたのです。

重く硬い石のふたを開けると、そこにはやせ細って小さくなったけれど、確かに命のあるお月がいました。ところが、あまりの恐ろしさと悲しみで泣き続けたお月の目は見えなくなっていました。

その姿を知ったお星の目からは涙があふれ、その涙がお月の目にこぼれたとたん、お月の目は開いて再び見えるようになったのです。それから二人はあてどもない旅を続けますが、ついには実の父に出会うことができました。それから3人は幸せに暮らした、とさ。

というお話です。

空気、光、水、食べ物、そしてなたね。お月が冬を越え、春を迎えるための必要最低限の命綱でした。雪の降り積もる寒さからどうやって身を守ったのか、それは石の保温が守ってくれたと考えましょう。

空気と光と水と食べ物でお月は生き続けることができました。なたねはお星が差し入れてくれた人間の智慧でした。蒔かれたなたねは自然の空気と光と養分でしっかりと成長することができました。

そして、他の条件、春という時期と温度です。

お月にとっては、それに加えてお星の兄弟愛、迎えに行くという約束、それに対する期待と希望がありました。この精神的支えはさぞかし大きかったでしょう。

種を蒔いておけば、春になれば花が咲く。辛抱強く待っていれば。そして、あきらめないこと。

残酷でかわいそうなお話ですが、読むたびに生きる条件、その他の条件、精神的支え、などいろいろ考えさせられるストーリーです。心に残ります。

地上から見上げるに、星より月の方がはるかに大きく見えるので、月の方がお姉さんと考えられたのかもしれません。しかし、自ら光らない月は実は恒星、太陽系の月は太陽に照らされて光っています。お月にとって、お星の愛は太陽のよう暖かかったでしょうね。

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