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サファイアの平常心

『幸せな王子』の剣のつかのルビーは貧しいお針子へ。次につばめがくわえて行ったのは王子の青いサファイアの目でした。

「そればかりはできません。」

つばめはそう言って泣き出してしまいました。

「いいや、つばめくん、どうかいうとおりにしておくれ。」

つばめは目から抜き取ったサファイアをくわえて、若い男のいる屋根裏部屋に飛んでいきました。

この男は劇場の監督にたのまれて芝居のはなしを書き上げようとしていたのですが、あまりの寒さに筆が進まないのです。暖炉に火はなく、そして飢えていました。

縮れた茶色の髪の毛、くちびるはざくろのように赤く、大きな夢見るような目をしています。机は紙くずだらけでした。

つばめがおいていったサファイアをみつけた男は、ファンからの贈り物と思い込み、幸せな気持ちになりました。

もう片方の目は小さなマッチ売りの少女の手のひらにすべりこませました。

「まあ、きれいなガラス玉だこと!」

少女はマッチをすっかり溝へ落としてだめにしてしまったのです。でも王子のサファイアのおかげで父親に怒られることはなかったでしょう。

サファイアはルビーと同じコランダム(鋼玉石)に属する。石に含有される酸化クロムの割合によって色が変化する。なかでも紫がかった濃いブルーは矢車草に似ていることからコーンフラワーブルーともいわれる。

ルビーのパッションに比べて、青いサファイアは堅実で落ち着いたイメージがある。実際その宝石パワーも見た目と同じく、感情の高まりや怒りを鎮め、「哲学者の石」とも呼ばれている。

文章を書くときは指輪を右手にはめると、発想がよくなるなど、知的活動に向いている。緊張するシーンに使えば、落ち着いて自分の力を発揮できる。いわば、智慧と平常心の石である。

『幸せな王子』では、脚本家が文章を書けるように助け、マッチ売りの少女には父親に怒られない智慧を授ける。作者のオスカー・ワイルドはサファイアの伝承のパワーを知っていたのだろう。発熱中の息子を持つお針子にはサファイアではなく、熱をさまし元気になるルビーを与えている。

また、恋人に電話するとき受話器を持ったほうの手にリングをはめれば、自分をうまくアピールできるという。

サファイアにまつわる伝説としては、有名な探険家、サー・リチャード・バートンの逸話がある。彼は多くの探検先で現地の人に熱烈な歓迎を受けるのだが、それは彼がスターサファイアを持っていたからであった。そのスターサファイアに軽く触れるだけで大きな幸せが訪れると評判だったから。

古からの伝承には、心臓を強め、毒消し、血の浄化にもよいとある。

良質のサファイアはインドやビルマで産出されていたが、インドの鉱山は閉山、ビルマでもほとんど採れなくなったという。現在はほとんどスリランカ産になっているが、熱処理されているものが多い。

今後はマダガスカルが注目だそうである。大粒は出ないが、品質がよい。いずれにせよ、良質なものを手に入れたいなら、早めに探した方がよさそうである。

サファイアの色は、実は彩り豊かである。今ではファンシーカラーサファイアと総称されている。

ピンク、オレンジ、イエロー、緑、紫、無色。30万円くらいのオレンジルビーのルースを手のひらにのせたことがあるが、ジュッというくらい熱く感じた。半端でないエネルギーとみた。

中でも最高ランクに位置し、キング・オブ・サファイアとも称されるパパラチア はスリランカでしか産出されないという。パパラチアとは「蓮の花」というスリランカ語で、ピンクとオレンジの中間色でなんとも暖かくやわらかい色味であるピンクサファイア と似ているものがあるので鑑別書があったほうがよいだろう。

ブルーサファイア の指輪、ずいぶん長いこと姿を消していた。いくら探してもみつからない。ところが、ひょんなことから身近で見つかり、それ以来、よくはめている。

「つれていってよ」

と聞こえるときに。手に汗握りそうなときは特に助けてくれていると思う。どきどきする時にみつめると、不思議と落ち着くカラーでもある。他の指輪をはめてからこのサファイアの指輪に交換するときが割りと多い。

必要ないときには姿を消し、必要なときにはちゃんと出てきてくれる石だそうだ。

ところで、イエローサファイアもいまだにルースのまま。静かにしまってある。

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